ロレックス
高級時計ブランドとして世界的な知名度を誇り、誰もが憧れる時計として人気の高いロレックス。
高級腕時計でありながら実用時計と位置づけるロレックスの時計は、スタンダードからスポーツモデルまでオン・オフ問わず身に着けられるラインナップを揃えている。
他のブランド時計よりもリセールバリューに優れており、世界中で中古品が多く売買されている。
特に、ヴィンテージモデルの価値は高く、世界的に名高いオークションにおいて、パテック・フィリップの時計と並び活発に取引されている。
ロレックスの歴史を紐解くと、世界で初めて腕時計でクロノメーターを取得、ロレックス3大発明と呼ばれる「オイスター」・「パーペチュアル」・「デイトジャスト」機構の開発など、腕時計としての実力を兼ね備えており、高級腕時計ブランドとしての地位を確立させた。
ロレックスは財団法人のため公式発表の義務はなく、秘密主義として知られている。
1950年代以降に発表された時計には少量生産のプロトタイプやイレギュラーなモデルがあり、ロレックスからの正式な見解がないため、謎に包まれたモデルが数多く存在する。
その為、世界中のコレクターがこぞって謎の解明や仮説を立てるなど、ミステリアスな側面もまた魅力の一つである。
ロレックスの時計は機械式のため、クォーツのように電池交換の必要はないが、3~4年に一度オーバーホール(分解掃除)が必要になる。
時計内部の磨耗した歯車の交換やオイルを継ぎ足すなどメンテナンスを怠らなければ、何十年も使い続けることが出来る。
1905年、懐中時計が主流だった時代に腕時計のニーズを予見していたハンス・ウイルスドルフは、ビジネスパートナーと共にロレックスの礎となる時計専門商社「ウイルスドルフ&デイビス社」をロンドンに設立した。実用的な腕時計を製造するためには、高精度のムーブメントと気密性の高いケースが不可欠であると考えたウイルスドルフは、ビエンヌ(スイス)の時計製造会社「エグラー社」と契約を結び優れたムーブメントの供給元を確保した。1907年には取引の簡素化を図るため、ラ・ショー・ド・フォン(スイス)に事務所を開設し、翌年の1908年には「ROLEX」という名称を商標登録した。
その後も精度向上に力を注ぎ、1910年、ビエンヌの時計学校(のちのビエンヌ検定局)にて公式精度検定最高レベルのクラスAを獲得し、さらに1914年には、キュー天文台(イギリス)でも精度A級認定を受けるといった腕時計初の快挙を成し遂げた。
続いてウイルスドルフは、気密性の高いケースの確保に乗り出した。1926年、オイスター社が開発した金属の塊をくり抜いたケースにねじ込み式のリューズと裏ブタを組み合わせた防水ケースの特許を取得し、この新型ケースには二枚貝に由来する「オイスター」の名が与えられた。これにより腕時計最大の弱点は克服され、それを証明するかのように、翌年(1927年)、ロンドンの速記記者メルセデス・グライツ嬢がドーバー海峡横断に成功した際、彼女の腕にはロレックスの「オイスター」があった。そして、グライツの偉業とともに「泳げる腕時計」の存在は世界に衝撃を与えるニュースとなった。
さらに完全な防水性を確保するためには、リューズの締め忘れによる浸水を防ぐ必要があった。その解決方法は、リューズによるゼンマイの巻き上げを必要としない自動巻き上げ機構の開発だった。そして1931年、腕時計として世界初となる全回転方式ローターでの自動巻き上げ機構「パーペチュアル」が開発され、ウイルスドルフが目指した実用腕時計の原形が完成した。
そして創業40周年を迎える1945年、既に開発済みだったオイスターケースとパーペチュアル機構に加え、文字盤にデイト表示用の小窓を備えた「デイトジャスト」を発表した。このデイト表示機構は「デイトジャスト機構」と呼ばれ、1955年には午前0時で瞬時に日付の切り替えが行えるよう改良される。こうして後に「ロレックス三大発明」と呼ばれる革新的な発明によって、日常生活において重要な機能を備えた実用腕時計の1つの完成形が誕生した。
1950年代になると、時計の機能の枠を超え、過酷な環境下でも最高のパフォーマンスを発揮できるプロフェッショナルモデルの開発を推し進め、1953年には究極のアドベンチャーウォッチ「エクスプローラー」と回転ベゼルを搭載した世界初のダイバーズウォッチ「サブマリーナー」が発表された。1955年にはパン・アメリカン航空の依頼により国際線パイロットのための「GMTマスター」が開発され、ロレックスの信頼性とステイタス性は、これらのモデルを使用するプロだけではなく、一般のユーザーまで知れ渡っていった。
1960年代には、深海潜水艇「トリエステ号」が潜航深度10,916mという世界記録を樹立した偉業にも同行し、オイスターケースの防水性を改めて実証した。後にこれらの成果をもとにプロダイバーのためのモデル「シードゥエラー」が開発されることになる。また、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ(アメリカ)の完成に伴い、レーサーのためのモデル「デイトナ」を発表するなど各分野のプロフェッショナルのための時計開発が行われた。
このようなチャレンジ精神は現代まで脈々と受け継がれ、完全自社製クロノグラフムーブメント開発(2000年)、セラクロムやパラクロムといった新素材開発(2005年)、3900m防水を可能にするリングロックシステム開発(2008年)、ロレックス初となるコンプリケーション機構(年次カレンダー)開発(2012年)といった原動力となっている。そして、現在も実用性を追求して進化を続けている。
創業: | 1905年 |
創業者: | ハンス・ウイルスドルフ |
創業地: | ロンドン(イギリス) |
主なモデルラインナップ
スポーツモデル ・デイトナ ・エクスプローラー I ・エクスプローラー II ・サブマリーナー ・シードゥエラー(ディープシー) ・GMTマスター II ・ミルガウス ・ヨットマスター ・ヨットマスター II ・スカイドゥエラー |
メンズスタンダードモデル ・ターノグラフ ・デイトジャスト ・デイトジャスト II ・デイデイト ・デイデイト II ・オイスター パーペチュアル ・オイスター パーペチュアル デイト ・エアキング |
レディースモデル
ボーイズモデル(ユニセックスサイズ) |
主な出来事
1905年 |
ハンス・ウイルスドルフがロンドンにてロレックスの前身となる時計専門商社「ウイルスドルフ&デイビス社」を設立 |
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1908年 |
スイスのラ・ショー・ド・フォンで「ROLEX」を商標登録 |
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1910年 |
ビエンヌ検定局の前身となるビエンヌ時計学校にて腕時計としては世界で初めてクロノメーター規格に合格 |
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1919年 |
本社をスイス・ジュネーブに移転 |
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1920年 |
社名を「Montres Rolex S.A.」(モントル・ロレックス・ソシエテ・アノニム)として登録 |
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1925年 |
正式に「クラウンマーク」を商標登録 |
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1926年 |
スイスとイギリスで「ねじ込み式ケース」、「ねじ込み式リューズ」の特許取得 スイスにて「オイスター」を商標登録 |
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1927年 |
メルセデス・グライツがロレックス「オイスター」とともにドーバー海峡横断に成功 |
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1928年 |
「プリンス」を発表 |
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1931年 |
世界初の自動巻きシステム「パーペチュアル」を開発 |
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1935年 |
マルコム・キャンベル卿がロレックス「オイスター」を着用し、時速484.6kmの地上最速記録を樹立 |
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1945年 |
会社設立40周年を記念して「デイトジャスト」を発表 ハンス・ウイルスドルフ財団設立 |
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1947年 |
米空軍のチャック・イェーガーが「オイスター パーペチュアル」を着用し、人類初の音速飛行に成功 |
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1953年 |
エドモンド・ヒラリー卿とテンジン・ノルゲイのエベレスト登頂成功を機に「エクスプローラー」を発表 世界初のダイバー用腕時計「サブマリーナー」を開発 |
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1955年 |
パイロットウォッチ「GMTマスター」を発表 |
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1956年 |
耐磁性時計「ミルガウス」を発表 プレステージモデル「デイデイト」を発表 |
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1957年 |
「レディ・デイトジャスト」を発表 |
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1960年 |
試作機「ディープシー・スペシャル」を外壁に取り付けた深海潜水艇トリエステ号が潜航深度10,916mという世界記録を達成 |
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1963年 |
クロノグラフ機構を搭載した「コスモグラフ(デイトナ)」を発表 |
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1965年 |
サブマリーナーが英国海軍の正式時計として採用 |
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1967年 |
潜水専門会社コメックスと共同開発した「シードゥエラー」を発表 シードゥエラー専用装備「ヘリウムガス・エスケープバルブ」の特許取得 |
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1970年 |
クォーツ式腕時計「クォーツ・デイト」を発表 |
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1971年 |
極地や洞窟探検をコンセプトにした「エクスプローラー II」を発表 |
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1985年 |
ステンレスの材質を「904Lスチール」に変更 |
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1988年 |
自動巻きクロノグラフ「デイトナ」を発表 |
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1991年 |
デイトナ24時間レースの公式タイムキーパーに就任 |
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1992年 |
新たなスポーツライン「ヨットマスター」を発表 |
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2000年 |
完全自社製クロノグラフムーブメント「Cal.4130」を開発 |
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2001年 |
ル・マン24時間耐久レースの公式タイムキーパーに就任 |
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2005年 |
耐磁性に優れる「ブルーパラクロムヒゲゼンマイ」を開発・特許取得 耐傷・耐蝕性に優れる「セラクロムベゼル」を開発・特許取得 独自の18Kピンクゴールド合金(エバーローズゴールド)を開発・特許取得 |
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2007年 |
ヨットレースに特化したモデル「ヨットマスター II」を発表 |
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2012年 |
年次カレンダーを搭載した複雑モデル「スカイドゥエラー」を発表 |
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2013年 | フォーミュラ1の公式タイムキーパー、公式時計に就任 |
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