フランク・ミュラー
1992年に自身のブランドを創設し、わずか数年で100年以上もの歴史あるブランドと肩を並べ、業界のトップへと上り詰めたのがフランク・ミュラーである。
今や珍しくなくなった独立時計師のブランド展開だが、フランク・ミュラーはその先駆けだった。
大きな特徴は独立時計師時代の1986年に発表された、フランク・ミュラー初のフリー・オシレーション(自由振動)トゥールビヨンやパーペチュアルカレンダーに独自の技術を施した複雑機構、ルーレットをはじめとする他では真似できないユニークな機構の数々など、豊な想像力を感じさせるオリジナリティーにある。
また、それらのデザインも芸術的で、機構と合わせて毎年新作で話題を振りまき、時計愛好家だけでなく、性別も問わず多くの人々を魅了し続けている。
1958年、フランク・ミュラーが時計産業で有名なスイスのヌーシャテル州ラ・ショー・ド・フォンにスイス人の父とイタリア人の母の間に生まれる。
幼い頃よりイタリア人の母から精密な機械仕掛けの素晴らしさを学ぶ。その後、10代半ばでジュネーブの時計学校へ進学し、時計職人としての道を進み始める。
1979年、ジュネーブの時計学校を主席で卒業。卒業制作ではロレックスのムーブメントを改良し、永久カレンダーを作り上げる程の技術力を持っていた。
卒業後は独立時計師としてオリジナルの時計を製作を始める。1986年には世界で初めて「フリー・オシレーション(自由振動)トゥールビヨン、ジャンピングアワー機能付きレギュレータータイプ文字盤」を開発。
その翌年にはフリー・オシレーションとミニッツリピーターの機能を持つ、「フリー・オシレーショントゥールビヨン、ミニッツリピーター」を開発。
その後も「リバース・トゥールビヨン、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダー」(1989年)、「スピリットセコンド・クロノグラフ、トゥールビヨン」、「ミニッツリピーター、ワールドタイム」(共に1990年)を次々と発表。
1992年、宝飾技師のヴァルタン・シルマケス(現ウォッチランドグループCEO)と共にフランクミュラーを創業。創業地はスイス・ジュネーブ。
同年には第1弾のコレクションにして、フラッグシップでもある「トノウ・カーベックス」を発表。翌年にはジュネーブサロンに初めて出店する。
≪「もう一人の創業者ヴァルタン・シルマケスとの出会い」:ヴァルタン・シルマケスは1956年にアルメニア系の宝石職人の子としてイスタンブールで生まれる。
17歳の時にジュネーブへ移り住み、その後ジュエリーセッテティング技術を学び習得。1979年にジュネーブにジュエリーセッティング工房(ケース製造部門)を構える。
ダニエルロートなどのケース製作を行っており、その繋がりからフランクミュラーと出会う。
共に完成された時計製作を目指しており、ムーブメント製作とジュエリーセッティング・ケース製作に長けた2人は1991年に時計会社テクノウォッチを共同で設立し、1992年のフランクミュラー創業に至る。≫
その後もコンプリケーションウォッチ(複雑時計)の開発の勢いは留まることなく、トゥールビヨン、スプリットセコンド・クロノグラフ、ミニッツリピーター、パーペチュアルカレンダーなど、代表的な複雑機構を融合したモデルを毎年の様に開発。
複雑機構を自由自在とも思える組み合わせ方で、時計界の常識を軽々と超えた発表を続けていった。
フランク・ミュラーが考案した世界初となる機構は、これまでに30以上にも及ぶといわれている。その中でも世界中に衝撃を与えたのが「レボーリュー ション」シリーズと、さらに上を行く新世代機「エテルニタス・メガ」シリーズといった超複雑時計。さらにユニークな機構では、カジノのルーレットを文字盤 で再現した「ヴェガス」や、時と時計の概念を覆す特殊ジャンピングアワー「クレイジー・アワーズ」などが大きく話題となった。
これらをはじめ、幾つもの独創的な機構を開発し、時計界の常識を打ち破る時計を手がけ続けてきた「フランク・ミュラー」。時計の裏蓋には複雑時計の担い手との自負として「Master of complications」の文字が誇らしく刻印されている。
他を圧倒する想像力と技術力を持った天才時計師にはじまり、複雑機構を知り尽くす世界的時計ブランドとなった「フランク・ミュラー」。
これからも誰も思いつかない刺激的な機構・モデルの開発によって、多くの人々に驚きと楽しさを与えてくれるだろう。
創業: | 1992年 | |
創業者: | フランク・ミュラー、ヴァルタン・シルマケス | |
創業地: | スイス ジュネーブ |
主なモデルラインナップ
[ケース別コレクション] | |
・トノウ・カーベックス | THE CINTREES CURVEX |
・ロングアイランド | THE LONG ISLAND |
・マスタースクエア | THE MASTER SQUARE |
・コンキスタドール | THE CONQUISTADOR |
・ラウンド | THE ROUND |
・カサブランカ | THE CASABLANCA |
・アールデコ | THE ARTDECO |
・ギャレ | THE GALET |
・ハートトゥハート | THE HEART TO HEART |
・インフィニティー |
THE INFINITY |
[文字盤デザイン別コレクション] | |
・カラードリームス | THE COLOR DREAMS |
・サンセット | THE SUNSET |
・レリーフ | THE RELIEF |
・カモフラージュ |
THE CAMOUFLAGE |
[機能別コレクション] | |
・クレイジーアワーズ | THE CRAZY HOURS |
・マスターバンカー | THE MASTER BANKER |
・ヴェガス | THE VEGAS |
・シークレットアワーズ | THE SECRET HOURS |
・ダブルミステリー | THE MYSTERY |
主な出来事
1992年 |
フランクミュラー創業。 「キャリバー92」を製作。 フラッグシップでもある「トノウ・カーベックス」を発表。 |
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1993年 |
「キャリバー93」を製作。 ジュネーブサロンに初めて出店。 |
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1994年 |
「キャリバー94」を製作。 フランク・ミュラー初のSSモデル「カサブランカ」を発表。 |
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1995年 |
「キャリバー95」を製作。 ジュネーブ郊外のジャントゥにあるネオゴシック様式の城館レ・ザマンドリエに工房を構え、「フランク・ミュラー ウォッチランド」と名付ける。 |
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1996年 |
「キャリバー96」を製作。 「マスターバンカー」を発表。 |
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1997年 |
「キャリバー97」を製作。 ル・マン24時間耐久レースのオフィシャル・タイムキーパーに選ばれたことを記念して、24時間表示の自動巻きスプリットセコンド・クロノグラフ「エンデュランス24」を発表。 |
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1998年 |
「キャリバー98」を製作。 「コンキスタドール」を発表。 世界最小となるトゥールビヨン・ムーブメントを製作。直径は19.15mmで世界記録を樹立する。 「マスターシティー」を発表。 これまで参加していたS.I.H.Hを離れ、自ら工房を構えるジャントウで独自の時計展示会「W.P.H.H(The World Presentation of Haute Horlogerie)」を開催する。 |
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1999年 |
「キャリバー99」を製作。 「マスターバンカー・クロノグラフ」を発表。 「ヴェガス」を発表。 |
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2000年 |
「キャリバー2000」を製作。 |
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2002年 |
「トゥールビヨン・レボリューション」を発表。 |
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2003年 |
「トゥールビヨン・レボリューション2」を発表。 「クレイジーアワーズ」を発表。 |
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2004年 |
「トゥールビヨン・レボリューション3」を発表。 「クレイジーアワーズ・トゥールビヨン」を発表。 |
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2005年 |
「トータリー・クレイジー」を発表。 「エボリューション3-1」を発表。 |
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2006年 |
「エテルニタス」を発表。 「マスタースクエア」を発表。 「イレギュラー・レトログラード・アワー」を発表。 「シークレット・アワーズ」を発表。 「ダブル・レトログラード・アワー」を発表。 |
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2007年 |
「エテルニタス・メガ4」を発表。 アートコレクション3部作として「アールデコ」、「ギャレ」、「ハート トゥ ハート」を発表。 「エテルニタス・メガブラック」を発売。 |
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2010年 |
「コンキスタドールGP」を発表。 |
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2011年 |
「ブラッククロコ」を発表。 「ブルームーン」を発表。 「ギガ トゥールビヨン」発売。 |
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2012年 |
「ブラッククロコ マスターバンカー」を発表。 「ブラッククロノ クロノグラフ」を発表。 「ラウンド ヴィンテージ」を発表。 |
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2013年 |
「サンダーボルト トゥールビヨン」を発表。「アイアンクロコ」を発表。 |
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