カルティエ
カルティエは150年の歴史を超えるフランスの名門ウォッチ&ジュエリーメーカーであり、腕時計の先駆者でもある。その機能的かつ洗練されたデザインを纏ったモデル達は、王国貴族やセレブリティーだけでなく世界中の人々にまで広く愛されており、もちろん日本においても誰もが知る有名ブランドとして確固たる地位と人気を誇っている。
その歴史は大変古く、ブランド設立は1847年まで遡りルイ・フランソワ・カルティエが、パリ・モントルゲイユ街にアトリエを開いたのが始まりとされている。
時計の機械としての精巧さと緻密さを追求するスイスの一流時計ブランドに対して、カルティエは芸術的な美しさ、ベルエポックの優雅さを時計で表現することを優先させた。それは、ルイ・フランソワ・カルティエが上流階級を中心とした多くの人々から愛される宝石商だったからである。
その後、ルイ・フランソワ・カルティエの息子、アルフレッド・カルティエが事業を受け継ぎ、貴族から新興ブルジョワまで幅広い顧客を次々と獲得していった。それを機に時計事業にも力を入れ始め、当初は他社の時計にカルティエの装飾を施したものを販売していたが、やがて自社で時計を製造するようになる。
腕時計という概念が無かった1900年代初頭には、航空家アルベルト・サントス-デュモンの『飛行機の操縦中に手を離さず時間が見たい』との依頼により、1911年に『サントス』が誕生。このモデルこそ実用的な男性腕時計の第一号とされており、カルティエが世界的なブランドとして名を轟かせるきっかけとなった。
懐中時計が全盛の時代にカルティエが時計業界に与えた影響は大きく、その後も精力的に新作モデルを発表している。代表的なモデルを挙げると、フランス語で「浴槽」を意味し、カルティエの中で最も格調高いモデルとして展開している『ベニュワール』、ルノー社製戦車の平面図からインスピレーションを受け、その特徴的な角型ケースに極限の機能美を追求した『タンク』、耐久面にも優れたグリッド、リューズプロテクターを備え、独特のラウンドケースに様々な素材・仕様が時計好きを飽きさせる事なく、今も尚魅力を放ち続ける定番モデルの『パシャ』、フランス語で豹を意味する『パンテール』は、カルティエのなかでもとりわけ際立って野性的なデザイン・雰囲気を持つのが特徴である。
スポーツカーを思い起こさせる流線型のフォルムにヘッドライトをイメージしたデイト表示の拡大レンズが特徴の『ロードスター』は、微妙にラウンドしたケースは手首にぴったりと収まり、ドライビング時にも違和感を感じさせない。
1912年に誕生したカルティエを代表するウォッチ・スタイル『トーチュ』。『トーチュ』とはフランス語で「亀」を意味する。熟練時計師によるハン ドメイドの技、プラチナ・ゴールドに限定したケース素材、独自の複雑機能、他に類を見ないラグジュアリーな美しさを持ち、最上の時計をこよなく愛する人々のために作られたウォッチコレクションである。
1950年代に活躍した映画女優、「マリア・フェリックス」へのオマージュとしてカルティエが創作したシリーズ『ラドーニャ』。『ラドーニャ』は、フラン ス語で「女性」や「貴婦人」を意味する。彼女のペットであったヘビークロコダイルの鱗をイメージしたブレスレットは、美しい曲線を描きとても重厚感がある。1961年のモデルをベースに創作された『ロンド・ドゥ・カルティエ』。完璧な円を描く美しいフォルムによってまぎれもないカルティエスタイルを作り上げている。
ローマ数字とアラビア数字の組み合わせなど、時計製造の純粋なエッセンスを表現した各ディテールの美しさが際立つ。
フランス語で「青い風船」を意味する『バロンブルー』は、円形でラウンド状のケースが特徴でサイドから見るとドーム状になっており、綺麗なアールを描く、芸術的なデザイン。
青い風船=ブルーがアクセントの大きなリューズを包み込むリューズプロテクターも特徴のひとつである。
カルティエが自社工房で設計・開発・製造を手掛けたムーヴメント、キャリバー1904MCを搭載した『カリブル・ドゥ・カルティエ』。リューズには、ブルースピネルが埋め込まれており、男性的なスピリットと卓越した技術が融合した新時代のメンズウォッチである。
伝統的な技術やデザインを継承しつつも、確固たる地位に驕ることなく革新的なデザインのモデルを発表し続けている。常に進化を止めないカルティエのストイックな姿勢が、今なお世界中の人々を魅了してやまない。
創業: | 1847年 | |
創業者: | ルイ・フランソワ・カルティエ | |
創業地: | パリ(フランス) |
主なモデルラインナップ
サントス ベニュワール タンク パシャ ロードスター バロンブルー カリブルドゥカルティエ トノー |
コリゼ ディアボロ クーガー サンチュール クロシェ トリニティ デクラレーション |
ラニエール ロンドドゥカルティエ ロトンドドゥカルティエ ラブウオッチ トーチュ マスト・21・ヴァンテアン ラドーニャ |
主な出来事
1847年 | ルイ・フランソワ・カルティエがパリのモントルゲイユ街にアトリエを開く | |
1853年 | ヌーヴ・デ・プティ・シャン通り5番地に本格的に自身の店を構える | |
1859年 | イタリアン大通り9番地に店を構える | |
1872年 | ルイ フランソワカルティエと息子のアルフレッドを共同経営者とする | |
1874年 | アルフレッド カルティエが店の経営権を任される | |
1888年 | 最初のブレスレットジュエリーウォッチを製作 | |
1899年 | ルイ・カルティエが経営に加わり、ラ・ペ通りの13番地に店を移転する | |
1902年 | ロンドンのニューバーリントン通りにカルティエ ロンドンがオープン | |
1904年 |
サントスの原型となるカルティエ初のレザーブレスの腕時計を製作 ルイ・フランソワカルティエ死去 |
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1906年 | ジャック・カルティエがカルティエ・ロンドンの経営者となる | |
1909年 |
ニューヨークの5番街にブティックをオープンさせる ロンドン店がニューボンド通り175-176に移転する |
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1911年 | サントス発表 | |
1912年 | ベニュワール発表 | |
1919年 | タンク発表 | |
1931年 | ミステリー懐中時計発表 | |
1933年 | ミステリーセッティングの特許権取得 | |
1935年 | カルティエ モンテカルロがオープン | |
1938年 | カルティエ カンヌがオープン | |
1943年 | パシャ発表 | |
1945年 | ピエール・カルティエがカルティエ・ニューヨーク、パリの社長に就任 | |
1965年 | ピエール・カルティエ死去 | |
1970年 | カルティエ 香港がオープン | |
1971年 | カルティエ ミュンヘンがオープン | |
1972年 | 投資家グループがカルティエ・パリを買収、ロベール オックが社長に就任 | |
1983年 | パンテール発表 | |
1984年 | カルティエ現代美術財団を設立 | |
1986年 | マスト・21・ヴァンテアン発表 | |
1989年 | タンクアメリカン発表 | |
1991年 | ディアボロ発表 | |
1992年 | ベニュワール・カスクドール・ベルエポック発表 | |
1993年 | リシュモン傘下へ | |
1994年 | プラチナ、ピンクゴールド素材を使用したサントスデュモンを限定製作する | |
1996年 | ウォッチ ニューコレクション パシャ・パシャC・タンクフランセーズを発表 | |
1998年 | サントスガルベのニューコレクションを発表 | |
2000年 | タンクバスキュラントが限定復刻される | |
2002年 | ロードスター・タンクディヴァン発表 | |
2003年 | カルティエ 銀座店オープン | |
2004年 | サントス100発表 | |
2005年 | 国内で32店舗目となるカルティエ 南青山店オープン | |
2007年 | バロンブルー発表 | |
2009年 | バロンブルークロノグラフ発表 | |
2010年 | 自社製ムーブメントCal.1904M搭載のカリブル ドゥ カルティエ発表 | |
2011年 | メタルブレスのカリブル ドゥ カルティエ ステンレススティール発表 | |
2012年 | タンクアングレーズ発表 | |
2013年 | カリブル ドゥ カルティエ クロノグラフ発表 |
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